受給事例2026年7月23日

胃がんで胃を全摘後、ダンピング症候群により障害厚生年金2級を受給した事例

胃がんの手術を終えた後も、胃の全摘出によって食事がうまく取れなくなったり、めまいや脱力感が続いたりすることがあります。

「治療は終わったのだから、これ以上は仕方がない」「胃を全摘していても、障害年金の対象にはならないのではないか」

そう考え、つらい症状を抱えたまま過ごしている方もいるかもしれません。

今回ご紹介するのは、胃がんの治療で胃を全摘した後、ダンピング症候群の症状が続き、障害厚生年金2級を3年間遡って受給した事例です。

同じ傷病や手術を経験した方が、すべて同じ結果になるわけではありません。しかし、胃がんの治療が終わった後でも、術後の症状によって日常生活や仕事が大きく制限されている場合は、障害年金を検討できる可能性があります。

この記事の結論

  • 胃がんによる胃の全摘出後、ダンピング症候群が続いている場合は、障害年金の対象となる可能性があります。

  • 胃を全摘した事実だけで認定されるのではなく、食後の症状、栄養状態、体力の低下、日常生活や仕事への影響などから総合的に判断されます。

  • 今回の事例では、食後の腹部膨張感、悪心、嘔吐、脱力感、めまい、発汗などが続き、復職後も仕事を続けられず退職に至りました。

  • その後、障害厚生年金2級に認定され、3年間遡って受給する結果となりました。

  • 診察のたびに症状や生活上の困りごとを主治医へ伝えていたことで、診断書にも実際の状態が反映されました。

  • 同じ傷病や手術を経験していても、受給の可否や等級、年金額は一人ひとり異なります。

  • 胃全摘後の症状で生活や仕事に支障がある場合は、自分で対象外と決めつけず、初診日や保険料納付状況を含めて確認することが必要です。

  • 胃がんで胃を全摘し、障害厚生年金2級を受給した事例

まずは、かがわ障害年金相談センターでご相談を受けた事例を簡単にご紹介します。

項目

内容

相談者

Kさんのご主人

傷病・症状

胃がんによる胃の全摘出後のダンピング症候群

主な症状

食後の腹部膨張感、悪心、嘔吐、脱力感、めまい、発汗

就労状況

一度は職場復帰したものの、仕事を続けられなくなり退職

認定結果

障害厚生年金2級

請求結果

3年間遡って受給

年金額

年間約200万円

※公表されている事例ページで確認できる範囲をもとに掲載しています。年齢、胃がんのステージ、手術時期などは記載されていないため、本記事でも加えていません。

また、障害厚生年金の金額は、厚生年金の加入期間や過去の報酬、配偶者加給年金額の対象となるかなどによって異なります。年間約200万円という金額は、この事例における結果です。

胃を全摘した後も、食事のたびにつらい症状が続いていた

Kさんのご主人は、胃がんの治療のため、胃の全摘出手術を受けました。

しかし、手術を終えた後も体調は元どおりにはならず、ダンピング症候群による次のような症状が続いていました。

  • 食後の腹部膨張感

  • 悪心

  • 嘔吐

  • 脱力感

  • めまい

  • 発汗など

こうした症状は一時的なものではなく、一度は会社へ復帰しましたが、症状を抱えながら仕事を続けることが難しくなり、最終的には退職することになりました。

胃の全摘出後に生じる不調は、見た目からは分かりにくいことがあります。

周囲からは元気に見えても、食事をするたびに体調が悪化する、外出先で急にめまいや脱力感が起こる、休まずに一日を過ごすことが難しいといった状態は、本人の生活や就労に大きな影響を与えます。

「手術は終わっているから」と我慢を続けている方もいるかもしれませんが、術後の症状が長く続いている場合は、障害年金の対象となる可能性を確認してみる余地があります。

3年間遡って障害厚生年金2級の受給が決まった

Kさんのご主人は、障害厚生年金2級に認定され、3年間遡って年金を受給することができました。年間の年金額は約200万円でした。

障害年金には、現在の状態をもとに請求する方法だけでなく、障害認定日時点ですでに認定基準に該当していた場合に、過去へ遡って請求する方法があります。

ただし、遡って請求するには、当時の状態を確認できる診断書などが必要です。また、請求が遅れた場合、時効によって受け取れる年金は原則として過去5年分までとなります。

この事例では、胃がんの術後後遺症も障害年金の対象になり得ることをKさんが知り、時効期間内に請求したことで、3年間遡って受給することになりました。

もちろん、胃がんの手術を受けた方が、必ず遡って受給できるわけではありません。

  • 障害認定日時点でどのような症状があったか

  • 当時の状態を示す診断書を用意できるか

  • 初診日や保険料納付要件を確認できるか

こうした事情によって、請求できる方法や結果は異なります。

診察のたびに症状を伝えていたことが、状態の把握につながった

公表されている事例では、Kさんのご主人が、定期受診のたびに、その間に現れた症状を詳しく主治医へ報告していたとされています。

そのため、診断書には病状だけでなく、日常生活で困っていることも踏まえて記載されました。

障害年金の審査結果が、診断書だけで決まったと断定することはできません。実際の審査では、診断書のほか、病歴・就労状況等申立書、初診日、保険料納付状況など、複数の資料が確認されます。

それでも、普段の診察で次のような状況を具体的に伝えておくと、医師が本人の状態を把握しやすくなります。

  • 食事の後にどのような症状が起こるか

  • 症状が何分、何時間ほど続くか

  • 1日に何回、どの程度の量を食べているか

  • 手術前後で体重がどのように変化したか

  • めまいや脱力感によって外出が難しくなることがあるか

  • 家事や身の回りのことで家族に頼っていることはあるか

  • 仕事を休んだ回数や、退職に至った経緯

実際に起きている症状や、日常生活で困っていることを、できるだけ具体的に伝えることが、現在の状態を正しく理解してもらうことにつながります。

胃がんの手術後に残った症状も、障害年金の対象になり得る

障害年金は、がんが進行している方だけを対象とする制度ではありません。

日本年金機構の障害認定基準では、悪性新生物による障害について、がんそのものや転移だけでなく、治療の結果として生じた障害も含め、全身状態や日常生活への影響などから総合的に認定するとしています。

また、胃切除によるダンピング症候群は、「腹部臓器・骨盤臓器の術後後遺症」として障害認定基準に記載されています。

障害の程度を判断する際には、主に次のような事情が確認されます。

  • 全身状態

  • 栄養状態

  • 年齢

  • 手術後の経過

  • 今後の見通し

  • 原因となった病気の性質や進行状況

  • 日常生活で受けている制限

胃を全摘したという事実だけで、障害年金の等級が決まるわけではありません。

一方で、手術が終わっているからといって、障害年金の対象外になるとも限りません。術後のダンピング症候群によって、食事、外出、家事、仕事などがどの程度制限されているかが判断材料になります。

障害年金を請求するときに確認する3つの要件

胃がんや胃全摘後のダンピング症候群で障害年金を請求する場合も、主に次の3点を確認します。

初診日を確認できるか

初診日とは、障害の原因となった病気について、初めて医師などの診療を受けた日です。

胃がんの場合は、胃がんと診断された日ではなく、胃の痛み、吐き気、食欲不振などを訴えて、最初に医療機関を受診した日が初診日となる可能性があります。

初診日は、障害基礎年金と障害厚生年金のどちらが対象となるかを判断するうえでも重要な日です。

保険料納付要件を満たしているか

障害年金を請求するには、初診日の前日において、一定の年金保険料納付要件を満たしている必要があります。

初診日に厚生年金へ加入していた場合は障害厚生年金、国民年金へ加入していた場合などは障害基礎年金の対象として審査されます。

納付状況は記憶だけでは分からないこともあるため、年金加入記録を確認して判断します。

症状が障害認定基準に該当しているか

胃がんそのものの状態だけでなく、治療による全身の衰弱、胃全摘後の症状、栄養状態、日常生活、就労状況などが確認されます。

診断名や手術名だけでなく、現在の生活や仕事がどの程度制限されているかが審査の判断材料になります。

胃を全摘していても、自動的に認定されるわけではありません

胃がんで胃を全摘した場合でも、それだけで自動的に障害年金が支給されるわけではありません。

たとえば次のような状態が続いている場合は、障害年金を検討できる可能性があります。

  • 食事のたびにダンピング症候群の症状が出る

  • 十分な食事が取れず、栄養状態が安定しない

  • 脱力感やめまいによって外出が難しい

  • 家事や身の回りのことに家族の援助が必要

  • 職場から配慮を受けなければ勤務を続けられない

  • 症状によって休職や退職を余儀なくされた

「胃を全摘したから対象になる」「仕事を辞めたから2級になる」といった、一つの事情だけで結果が決まるものではありません。

同じ胃がんや胃全摘後の方でも、症状の程度、食事や栄養の状態、生活環境、就労状況によって判断は異なります。

診断書を依頼する前に、普段の生活を振り返ってみましょう

胃がんやダンピング症候群による請求では、検査結果だけでなく、全身状態や栄養状態、日常生活、仕事への影響も確認されます。

主治医へ診断書を依頼する前に、次の内容をメモしておくと、普段の状況を伝えやすくなります。

  • 手術後から現在までの症状の変化

  • 食事量や食事回数

  • 体重の変化

  • 食後に起こる症状

  • 症状が出た後に横になって休む時間

  • 家族に手伝ってもらっていること

  • 通勤や仕事で困っていること

  • 休職や退職の時期と理由

診断書は、医師が医学的な判断に基づいて作成します。

本人や家族が記載内容を指定するのではなく、普段の診察では伝えきれていない症状や生活状況を共有し、医師に実態を把握してもらうことが大切です。

「自分も相談してよいのかな」と迷っている方へ

胃がんの手術後に症状が続いていても、

「がんの治療は終わったから、障害年金は関係ないだろう」「胃の全摘後に体調が戻らないのは、仕方のないことなのだろう」「自分より症状が重い人でなければ相談できないのではないか」

このように考えている方もいるかもしれません。

Kさんのご主人も、当初は胃がんの術後後遺症が障害年金の対象になり得ることを知りませんでした。その後、制度を知り、時効期間内に請求したことで、障害厚生年金2級を3年間遡って受給することができたのです。

もちろん、この事例と同じ病気や症状があるからといって、同じ等級や金額になるとは限りません。

それでも、同じように胃全摘後のダンピング症候群に悩んでいる方にとって、実際に受給につながった事例があることは、制度を調べるきっかけの一つになるかもしれません。

かがわ障害年金相談センターでは、申請を前提に話を進めるのではなく、まず現在の症状や通院歴、初診日、年金加入記録などを伺います。

そのうえで、障害年金を検討できる可能性があるか、どのような確認や準備が必要かを一緒に整理します。

相談後は、状況に応じて次のような手続きを進めます。

  • 年金加入記録と保険料納付要件の確認

  • 初診日の確認

  • 診断書の準備

  • 病歴・就労状況等申立書の作成

  • 年金請求書と必要書類の提出

初回相談は無料です。障害年金請求サポートは着手金0円の成功報酬型ですが、診断書料など、医療機関へ支払う費用は本人負担となります。

料金や支援範囲については、依頼前に最新の内容をご確認ください。

「胃を全摘してから体調が戻らない」「食事のたびに症状が現れ、外出することが不安」「一度は復職したものの、仕事を続けることが難しい」

このような状態が続いている場合は、一人で対象外だと決めつけず、まずは現在の状況をお聞かせください。

かがわ障害年金相談センターへのお問い合わせ

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参考